幕末オオカミ 第二部 京都血風編



「覚悟おおおお!」


すぐ近くからそんな怒号が聞こえたと思うと、油断していた平助くんの肩に、鋭い切っ先が振り下ろされるのが見えた。


咄嗟に身を引くも、平助くんの肩から、赤い華が咲き乱れる。


「平助くん!」

「ぐっ……」


肩口を押さえ、こちらに隠れようとする平助くん。


すると、あたしの背後で地を蹴る音がした。


もちろんそれは総司のもので、総司は民家の屋根に飛び移ると、すぐに平助くんを襲った隊士の前に飛び降り、立ちはだかった。


「お、沖田隊長!」


「遅れて悪かった。藤堂の追跡は俺がする。お前は他の敵を頼む」


「は、はいっ!」


どうやら、新入りの隊士みたいだ。


多分、平助くんの顔も、幹部の旧友だということも知らずに、夢中で斬りつけたんだろう。


「早く、あっちの道には隊士はいないはずだ」


総司に抱えられ、あたしに手を引かれ、平助くんは民家の間を通り、人気のない道へなんとか逃げおおせた。