「覚悟おおおお!」
すぐ近くからそんな怒号が聞こえたと思うと、油断していた平助くんの肩に、鋭い切っ先が振り下ろされるのが見えた。
咄嗟に身を引くも、平助くんの肩から、赤い華が咲き乱れる。
「平助くん!」
「ぐっ……」
肩口を押さえ、こちらに隠れようとする平助くん。
すると、あたしの背後で地を蹴る音がした。
もちろんそれは総司のもので、総司は民家の屋根に飛び移ると、すぐに平助くんを襲った隊士の前に飛び降り、立ちはだかった。
「お、沖田隊長!」
「遅れて悪かった。藤堂の追跡は俺がする。お前は他の敵を頼む」
「は、はいっ!」
どうやら、新入りの隊士みたいだ。
多分、平助くんの顔も、幹部の旧友だということも知らずに、夢中で斬りつけたんだろう。
「早く、あっちの道には隊士はいないはずだ」
総司に抱えられ、あたしに手を引かれ、平助くんは民家の間を通り、人気のない道へなんとか逃げおおせた。



