幕末オオカミ 第二部 京都血風編



他の御陵衛士も伊東を殺された恨みか、生への執着か、必死に抗戦している。


何十人もの隊士に囲まれても、刀を振るい続けていた。


「あっ、平助くん」


ハラハラしながら見守っていたあたしの目線の先に、平助くんが隊士の剣を受けて現れる。


平助くんはその刀を下へ受け流すと、目にも止まらない速さで刀を上段に構えなおすと、敵の刀の峰にまっすぐに打ち下ろす。


撃たれた刀は真っ二つに折れ、先の方が夜空へ飛んでいった。


「今だ、楓」


総司に声をかけられ、うなずく。


「平助くん!」

「か、楓?」


突然名を呼ばれ、ビックリした顔で、大きな目を見開く平助くん。


「早くこっちへ!」


狭い隙間から平助くんの方へと、手を伸ばす。


「楓……」

「平助くん、お願い!」


平助くんは迷っているような、困っているような顔で眉を下げた。


その背後では、相変わらず乱闘の物音が続いている。


「俺……いいのかな……」


平助くんがためらいながらも、こちらに手を伸ばしてこようとする。


もう少しで、指先が触れる。


そう思った瞬間。