──伊東の遺体は、七条と油小路の十字路に捨て置かれた。
「町役人が、御陵衛士の屯所に伊東殺害を伝えたことを確認した」
山崎監察からの伝令を受け、あたしたちは御陵衛士が遺体を引き取りにくるのを待った。
夜はますます深くなり、寒い京の空に星がいくつも瞬いて見えた。
そうして待ちくたびれたころ、十字路に垂駕(たれかご)を用意して、7人の御陵衛士が現れた。
「平助くん……」
篠原や伊東の弟の三樹三郎、他の御陵衛士の中に、平助くんがいた。
いつもニコニコとしていた顔は、伊東の遺体を見て凍りつく。
「襲撃には、俺と左之が出て行く。総司と楓は、平助を頼む」
永倉先生にそう言われた通り、あたしと総司は民家と民家の狭い隙間に隠れ、様子をうかがっていた。
御陵衛士たちは、駕籠に伊東の遺体を乗せようとする。
そこへ、十字路の四方から彼らを囲むように、新撰組隊士およそ40名が現れた。
当然その中には、永倉先生と原田先生がいる。
「新撰組……!」
「おのれ、卑怯なやつらめ!」
御陵衛士たちは刀を抜き、背中を合わせて隊士たちに向かう。



