幕末オオカミ 第二部 京都血風編



「……ぁ、ぐ……!」


悲鳴を上げることもできず、牙を離された伊東は青白い顔で冷たい地面にひれ伏した。


流れ出た血液が土を濡らしていく。


その呼吸はみるみるうちに細くなり、白い線となって消えていった。


大蛇のような尾は、血にまみれた袴を履いた人間の足に戻っていく。


その途端、気を失っていた隊士たちが、ううんとうなり始めた。


「総司っ、はやく戻って!」


この姿を見られたら大変だ!


あたしは総司に近寄り、額にべたりと護符を貼り付ける。


「ぎゃわっ、がうっ、うう……」


耳や尻尾が消え、人間の姿に戻った総司は、慌てて口の中に残っていた血液を吐き出し、口元をぬぐった。


「う゛ええええ……気持ち悪いぃぃぃ」


勝利はおさめたものの、人間に戻った総司は、伊東の血液が自分の口に入ったことを我慢できないみたい。


「でも良かったね、すぐに決着がついて」


人狼の姿のまま激しい戦いを繰り返すと、そのあと総司の体にかかる負担が心配。


本当は、狼になったり人間に戻ったりっていうのも、できればやめてほしいんだけど……。