「狼化しちゃったの!?」
狼は人間に返事なんかしない。
ただ「ぐるる」と、低く喉を鳴らす。
「なんと……沖田君、きみもでしたか」
伊東が驚いたように目を見開いた。
人狼の姿になった総司は、あたしから視線を離す。
そして敵だけを見つめて地を蹴ると、わき目もふらずにそちらへ駆けていく。
まるで、一陣の風。
「総司!」
総司はあっという間に、伊東の間合いに入り込む。
「がううっ!」
不器用に刀の柄を握ったままの総司は、それを力任せに突き出す。
いつもの流麗なそれとは違う粗暴な剣は、伊東の腹の鱗を砕き、貫いた。
「ぎゃああぁぁぁっ」
高く耳障りな悲鳴が響く。
どてばたとのたうち回る尻尾を踏みつけて跳んだ総司は、伊東の肩をつかみ、その首筋に鋭い牙を突き立てた。



