幕末オオカミ 第二部 京都血風編



伊東さんに命じられたから……とか?


でもそうなら、高台寺からいなくなる理由がない。


それから店の主人が来たようで、女中たちの話は中断されてしまった。


仕方がないので、もう一軒の方へ向かう。


その間も、斉藤先生の行方が気になって仕方がなかった。


斉藤先生……今、どこにいるの?



もう一軒では、台所からもくもくと湯気が立ち昇っていた。


どうやら忙しいらしく、さっきのような世間話は聞こえてこない。


「はずれかぁ……」


客として店に入ってもいいけど、それだと御陵衛士とばったり遭遇してしまった場合にすぐ逃げられなくて困るな。


店の者が用事で出てくるまで待つか、付近の聞き込みをしてこようか。


そう思って表の通りに出ると。


「おっと……!」


とっさに、隣の店の前に立ててある暖簾の影に隠れた。


そこへちょうど通りかかった人に、見つかってはまずいからだ。


髪を結わずに肩に流しているその人物は、伊東甲子太郎、その人だった。