幕末オオカミ 第二部 京都血風編



あたしがいるのに目の前で総司を誘うなんて……やっぱり、空気読めない変な人。


上様と銀月さんが姿を消すと、総司は深いため息をついた。


「どういう気まぐれなんだろうね。息抜きに街に出るなんて」


「……あの人も色々苦労があるんだろ。
将軍は友達もいないだろうし……辛く寂しい立場だよな。
少し出かけて息抜きできるなら、それでいいさ」


そうか……そういえば、仕方なく将軍になったんだって銀月さんが言ってたっけ。


皆がひれ伏す将軍だもん、自由もないし、友達とお酒飲んでバカ騒ぎするわけにもいかないし、鬱憤が溜まってるのかも。


ふんぞり返って居られるから楽ってわけでもなさそう。


「さて、帰るか。近藤さんに話をしておかなきゃな」

「うん」


どちらからともなく、あたしたちは手をつなぐ。


「……ねえ、総司は幸せ?」


思わずぽつりとこぼした言葉に、総司はなぜそのようなことを聞くのだろうというような顔で、こちらを見下ろす。