「家茂のことを、銀月から聞いただろう。
あいつは体も弱かったが、結局暗殺されてしまった」
たしか、毒を盛られたんだっけ。
「もののけにとり憑かれた者の仕業ではないかと余は考えている。
台所から、魚のものにしては大きすぎるこれが見つかった」
そう言って上様が懐から取りだしたのは、あたしの目の玉ほどの大きさの鱗だった。
脳裏に浮かぶのは、かつて槐が操っていた半魚人たち。
そして討幕派と組んだという、海や川のもののけのことだった。
「そして、最近余の側近も殺された」
「ええ、それは存じております」
総司がうなずく。
たしかに、上様の側近が浪士に斬られたという情報は、新撰組にも入ってきていた。
「ではこれも知っているか。
10月15日、二条城に薩摩兵が、所司代に陸援隊と戸津川郷士、新撰組屯所には他の浪士達が襲撃するという武力蜂起の情報だ」
「ええ……っ!」
そんなことになったら、幕府の……ううん、この国の一大事だ。
しかも、15日ってもうすぐじゃん!



