「ひいい……」
「待て!銀月っ、逃がすな!」
総司が叫ぶと、上様の方から現れた浪士達の頭上から、一匹の狼が躍り出た。
「お、狼……!」
なんで銀月さんが?
そう思う間もなく、狼の姿をした彼は、逃げようとした男たちの足に次々に噛みつき、その歩みを止めた。
「大人しく縄につけ!」
総司が呼子を鳴らすと、銀月さんの姿がふと透明になった。
次々に駆け寄ってくる、一番隊の面々が、浪士達を捕えて運んでいく。
そうしてあたりが静かになると、上様がひとつ息をついた。
「相変わらず見事だな、沖田」
「もったいないお言葉です」
上様に声をかけられると、沖田は深く頭を下げた。
沖田も見事だったけど、あれだけ敵に囲まれて、ずっと静かにしていた上様も相当すごかったと思う。
さすがに表情は固かったけど、もっと取り乱したりすると思ったのに、意外に堂々としていた。
この人、本当に怒りっぽい小心者っぽかったけど、将軍になって少し変わったのかも。



