幕末オオカミ 第二部 京都血風編



「ひいい……」

「待て!銀月っ、逃がすな!」


総司が叫ぶと、上様の方から現れた浪士達の頭上から、一匹の狼が躍り出た。


「お、狼……!」


なんで銀月さんが?


そう思う間もなく、狼の姿をした彼は、逃げようとした男たちの足に次々に噛みつき、その歩みを止めた。


「大人しく縄につけ!」


総司が呼子を鳴らすと、銀月さんの姿がふと透明になった。


次々に駆け寄ってくる、一番隊の面々が、浪士達を捕えて運んでいく。


そうしてあたりが静かになると、上様がひとつ息をついた。


「相変わらず見事だな、沖田」

「もったいないお言葉です」


上様に声をかけられると、沖田は深く頭を下げた。


沖田も見事だったけど、あれだけ敵に囲まれて、ずっと静かにしていた上様も相当すごかったと思う。


さすがに表情は固かったけど、もっと取り乱したりすると思ったのに、意外に堂々としていた。


この人、本当に怒りっぽい小心者っぽかったけど、将軍になって少し変わったのかも。