「金を出せばいいのだな」
上様はあたしの肩に手を置いて止めると、袂から庶民的な財布をとり出した。
そうか、こんなことで揉めて、上様の正体がばれちゃったりするよりは、素直にお金を出した方がいいのか。
浪士達は笑って刀を鞘におさめる。
でも悔しい。弱い者を脅して金を奪うなんて、絶対に間違っているのに。
あたしは上様から財布を受け取ると、浪士達の方へ近づく。
すると、予想外のことが起こった。
刀をしまいかけていた浪士が突然、その切っ先をこちらに向けたんだ。
「何をする!」
あたしは財布を懐にしまい、小太刀を抜く。
「出せば助けてやると言った覚えはない」
こ、こいつら~!
結局金を奪って、罪のない庶民を殺して逃げるつもりだったんじゃないか!
「……世も末だな」
上様が呆れたようにつぶやいた。
それを合図にしたように、浪士があたしに斬りかかってくる。
狭い道だから一人ずつしか襲って来ないのが、不幸中の幸いか?
あたしは上段から振り下ろされた刃を避けると、がら空きになった相手の胴にもぐりこむ。
「てやあっ!」
そして小太刀を持ったまま、相手のみぞおちに肘鉄を食らわせた。
「うええっ」
男は刀を持ったまま腹を押さえ、うずくまる。



