幕末オオカミ 第二部 京都血風編



「金を出せばいいのだな」


上様はあたしの肩に手を置いて止めると、袂から庶民的な財布をとり出した。


そうか、こんなことで揉めて、上様の正体がばれちゃったりするよりは、素直にお金を出した方がいいのか。


浪士達は笑って刀を鞘におさめる。


でも悔しい。弱い者を脅して金を奪うなんて、絶対に間違っているのに。


あたしは上様から財布を受け取ると、浪士達の方へ近づく。


すると、予想外のことが起こった。


刀をしまいかけていた浪士が突然、その切っ先をこちらに向けたんだ。


「何をする!」


あたしは財布を懐にしまい、小太刀を抜く。


「出せば助けてやると言った覚えはない」


こ、こいつら~!

結局金を奪って、罪のない庶民を殺して逃げるつもりだったんじゃないか!


「……世も末だな」


上様が呆れたようにつぶやいた。


それを合図にしたように、浪士があたしに斬りかかってくる。


狭い道だから一人ずつしか襲って来ないのが、不幸中の幸いか?


あたしは上段から振り下ろされた刃を避けると、がら空きになった相手の胴にもぐりこむ。


「てやあっ!」


そして小太刀を持ったまま、相手のみぞおちに肘鉄を食らわせた。


「うええっ」


男は刀を持ったまま腹を押さえ、うずくまる。