そう言うと、平助くんは何かをふりきるように、いつもの笑顔を作りなおした。
「これが今生の別れってわけじゃないよ、たぶん。
生きていれば、また会える」
「うん……」
「元気でね!」
平助くんはそう言って笑うと、ぎゅっとあたしを抱きしめた。
いつもなら、殴ってでもすぐに離れるんだけど……今はどうしても、そういう気にはなれなくて。
あたしはおずおずと平助くんの背中に手を伸ばし、彼を抱きしめ返した。
そのまま、ゆるゆると体の力を抜いて、平助くんの肩に自分の頭をあずけて、じっとしていた。
平助くんの温かな笑顔を忘れないように。
あたしたちの仲間として過ごしてきた時間を、胸に刻み付けるように。
その数日後、舞い散る桜の中……。
伊東派と平助くんと斉藤先生は、御陵衛士として、新撰組の屯所を去っていった。



