幕末オオカミ 第二部 京都血風編



「……私、赤子ができた」


「え……ややが!?」


最後に会ってから1年半くらい経つから、そういうことがあっても不思議じゃないけど……。


驚いて目を丸くするあたしに、槐はお腹をなでながら、ぼそぼそと話続ける。


「まだ、目立ってないけどね。

小次郎にしつこく求婚されて、仕方なく受けたら、授かった」


槐の言い方はぶっきらぼうだったけれど、頬がみるみるうちに赤くなっていく。


そっか……あの影のように寄り添っていた小次郎と、夫婦になったんだね。


「そうしたら、自分が自分じゃないみたいなんだよ。

山南を死に追い込んでしまったこと、今はすごく後悔してる」


「そう……」


あたしには想像もつかないけれど、赤子を授かって、本来の優しい気持ちを取り戻してくれたのかな。


「だから、その……あんたのためじゃないから。

あたしがスッキリするためだから」


「うん、ありがとう」


「だから、礼なんかいらないっつってんの!」


槐は赤くなって、怒鳴った。


その直後、ハッとした顔で周りを見回す。


幸い、誰にも注目されてないみたい。