「……私、赤子ができた」
「え……ややが!?」
最後に会ってから1年半くらい経つから、そういうことがあっても不思議じゃないけど……。
驚いて目を丸くするあたしに、槐はお腹をなでながら、ぼそぼそと話続ける。
「まだ、目立ってないけどね。
小次郎にしつこく求婚されて、仕方なく受けたら、授かった」
槐の言い方はぶっきらぼうだったけれど、頬がみるみるうちに赤くなっていく。
そっか……あの影のように寄り添っていた小次郎と、夫婦になったんだね。
「そうしたら、自分が自分じゃないみたいなんだよ。
山南を死に追い込んでしまったこと、今はすごく後悔してる」
「そう……」
あたしには想像もつかないけれど、赤子を授かって、本来の優しい気持ちを取り戻してくれたのかな。
「だから、その……あんたのためじゃないから。
あたしがスッキリするためだから」
「うん、ありがとう」
「だから、礼なんかいらないっつってんの!」
槐は赤くなって、怒鳴った。
その直後、ハッとした顔で周りを見回す。
幸い、誰にも注目されてないみたい。



