幕末オオカミ 第二部 京都血風編



「わかりました」


とは言ってもなあ……。


局長は良い人なんだけど、その局長が強烈に支持している幕府が問題山積みなんだもん。


確かに副長の作った隊規は厳しすぎると思うこともあるし、伊東参謀の柔和な人柄に惹かれる隊士がいても、今は不思議じゃないんだよね。


「でも、一度仕えると決めた相手を簡単に裏切らないのが、局長の素敵なところなんじゃないのかなあ……」


ぶつぶつ言いながら、あたしは伊東派の隊士たちを、町娘の格好で見張っていた。


肝心の参謀は、今は山崎監察が見張っているはず。


伊東派の隊士たちは、巡察中はまじめに任務に取り組んでいる様子で、あたしは物陰に隠れたまま、思わずあくび
をした。そのときだった。


「ねえ」


「きゃあ!」


突然後ろから肩を叩かれ、びくんと全身が地から1寸ほど浮いてしまった。


「え……ええっ!?」


後ろを振り返り、余計に驚き、目を見開いてしまった。


そこにいたのは、長い三つ編みの槐だったからだ。