次の日……
庭の植木に水をやっていると、突然首根っこをつかまれた。
『おい宗次』
『歳三さん……!?
僕は宗次郎ですけど……』
『んなこたどうでもいいんだよ。
ちょっと付き合え』
と言った土方さんは、剣道の胴着や防具をつけていて……悪い予感しかしなかった。
『でもっ、仕事が……』
『おかみさんになら、ちゃんと許可をとった』
……なんてこと。
仕事には厳しいおかみさんを、どうやっていいくるめたんだろう。
やっぱりこの人、信用できない。
しかし首根っこをつかまれたやせっぽちの俺は、抵抗虚しく土方さんに連行されてしまった。
連れていかれたのは、やっぱり道場で……。
心の準備ができていたせいか、吐きはしなかったけど……ドキドキと、緊張で胸が高鳴った。
『勝ちゃん!一本相手してくれよ!』
近藤先生が振り向く。
他の門人は久々の土方さんの登場にわきたった。
当時の土方さんは行商の合間にしか来られなかったからだ。



