幕末オオカミ 第二部 京都血風編



そんな顔を見ていたら、ぎゅうっと胸がしめつけられる。


あたしだって、いつか総司に遠ざけられるんじゃないかと心配してたんだよ……。


「今更、嫌ったりしないよ」


きっと、総司の気持ちを信じ切れなかったあたしの空気を感じて、総司も不安だったんだね。

ごめんね……。


「人でも狼でも、あたしにはあんただけだよ」


周りの人間に見られないよう、そっと総司の小指だけをにぎる。


すると、総司はそれをほどき、堂々とあたしの指にその長くて節くれだった指を絡ませてきた。


「俺にも、お前だけだ。

大切にするから……これから色々と大変だろうけど、よろしくな。

来年も、再来年もずっと」


ぎゅっと握られた手から、総司の強い想いが伝わってくる。


山南先生が亡くなったときから、いくら振り払ってもまとわりついていた不安が、今はもうどこにもない。


もののけの花嫁だって楽しそうだ、と思える自分がいる。


総司の体に負担がかかったときは、あたしの血を使えばいい。


これから起こり得る戦だって、永遠に終わらないわけじゃないんだ。


支え合っていけば、きっと乗り越えられる。


あたしは……総司を信じて、これからも生きていく。



夏の暑さで汗ばんだ手で、あたしは桜の模様が描かれた櫛を、ぎゅっとにぎりしめた。