そんな顔を見ていたら、ぎゅうっと胸がしめつけられる。
あたしだって、いつか総司に遠ざけられるんじゃないかと心配してたんだよ……。
「今更、嫌ったりしないよ」
きっと、総司の気持ちを信じ切れなかったあたしの空気を感じて、総司も不安だったんだね。
ごめんね……。
「人でも狼でも、あたしにはあんただけだよ」
周りの人間に見られないよう、そっと総司の小指だけをにぎる。
すると、総司はそれをほどき、堂々とあたしの指にその長くて節くれだった指を絡ませてきた。
「俺にも、お前だけだ。
大切にするから……これから色々と大変だろうけど、よろしくな。
来年も、再来年もずっと」
ぎゅっと握られた手から、総司の強い想いが伝わってくる。
山南先生が亡くなったときから、いくら振り払ってもまとわりついていた不安が、今はもうどこにもない。
もののけの花嫁だって楽しそうだ、と思える自分がいる。
総司の体に負担がかかったときは、あたしの血を使えばいい。
これから起こり得る戦だって、永遠に終わらないわけじゃないんだ。
支え合っていけば、きっと乗り越えられる。
あたしは……総司を信じて、これからも生きていく。
夏の暑さで汗ばんだ手で、あたしは桜の模様が描かれた櫛を、ぎゅっとにぎりしめた。



