幕末オオカミ 第二部 京都血風編



「……でも、本当に悪かったな。

いきなり、銀月の申し出を受けることになっちまって」


「ううん、あたしを助けようとして決めたことでしょ?

あたしこそ、ごめんね……」


上様があっさり合意してくれたから良かったものの、本来なら浪人の身分の総司が城の中に押し入って、上様を脅迫するなんて、許されることじゃない。


もののけたちがいなければ、総司は打ち首にされていただろう。


それに、総司は本当は狼たちと関わりたくないはずなのに……。


申し訳なさでうつむいてしまうと、総司の明るい声が聞こえてきた。


「でもさ、お前があの時笑ってくれて、ほっとした」


「え?」


「上様に『もののけの花嫁になるのか』って聞かれたとき。

お前、ほのぼのした想像して笑っただろ」


あ、やっぱりばれてたのね。


「お前だけは俺を人として見ててくれたから……人狼として、もののけの頭領になっただなんて知ったら、嫌われるかもと思ってた」


「総司……」


「今は、疑ったりして悪かったって思ってる」


総司は照れ隠しなのか、牙に似た八重歯を見せて、にっと笑った。