「……でも、本当に悪かったな。
いきなり、銀月の申し出を受けることになっちまって」
「ううん、あたしを助けようとして決めたことでしょ?
あたしこそ、ごめんね……」
上様があっさり合意してくれたから良かったものの、本来なら浪人の身分の総司が城の中に押し入って、上様を脅迫するなんて、許されることじゃない。
もののけたちがいなければ、総司は打ち首にされていただろう。
それに、総司は本当は狼たちと関わりたくないはずなのに……。
申し訳なさでうつむいてしまうと、総司の明るい声が聞こえてきた。
「でもさ、お前があの時笑ってくれて、ほっとした」
「え?」
「上様に『もののけの花嫁になるのか』って聞かれたとき。
お前、ほのぼのした想像して笑っただろ」
あ、やっぱりばれてたのね。
「お前だけは俺を人として見ててくれたから……人狼として、もののけの頭領になっただなんて知ったら、嫌われるかもと思ってた」
「総司……」
「今は、疑ったりして悪かったって思ってる」
総司は照れ隠しなのか、牙に似た八重歯を見せて、にっと笑った。



