幕末オオカミ 第二部 京都血風編



「選べよ」

「えっ?」

「色々勝手に決めちまった詫びに、何か買ってやるよ」

「は?」


勝手にって……もののけの頭領になってしまったことを言ってるんだよね、きっと。


「そんなの、いいよ」


むしろ、あたしこそ、総司にそんな不本意な決断をさせてしまったことを、まだ謝っていないのに。


「遠慮すんなって。早く決めろ」


総司は照れたように、ぼそぼそと話す。


気づけば、娘さんたちがあたしと総司を見て、桃色の頬でひそひそと何かを話し合っている。


も、もしや、あたしたち……衆道の中だと思われてる?


「ええと、じゃあ……」


監察の仕事もあるから、においがつくようなものは困る。香袋は却下。


かんざしは、山南先生の形見の特製かんざしがあるし……。


「あ、これ」


迷ったあたしの目に留まったのは、蒔絵で桜が描かれた、朱塗りの櫛だった。


夏に桜は時期外れだけど、その桜がとても綺麗で、あたしは一目でそれが気に入ってしまった。


「これ、綺麗。これにする」


「へえ、まいど」


さっそく櫛を紙に包もうとする店主を、総司が止める。