「選べよ」
「えっ?」
「色々勝手に決めちまった詫びに、何か買ってやるよ」
「は?」
勝手にって……もののけの頭領になってしまったことを言ってるんだよね、きっと。
「そんなの、いいよ」
むしろ、あたしこそ、総司にそんな不本意な決断をさせてしまったことを、まだ謝っていないのに。
「遠慮すんなって。早く決めろ」
総司は照れたように、ぼそぼそと話す。
気づけば、娘さんたちがあたしと総司を見て、桃色の頬でひそひそと何かを話し合っている。
も、もしや、あたしたち……衆道の中だと思われてる?
「ええと、じゃあ……」
監察の仕事もあるから、においがつくようなものは困る。香袋は却下。
かんざしは、山南先生の形見の特製かんざしがあるし……。
「あ、これ」
迷ったあたしの目に留まったのは、蒔絵で桜が描かれた、朱塗りの櫛だった。
夏に桜は時期外れだけど、その桜がとても綺麗で、あたしは一目でそれが気に入ってしまった。
「これ、綺麗。これにする」
「へえ、まいど」
さっそく櫛を紙に包もうとする店主を、総司が止める。



