幕末オオカミ 第二部 京都血風編



「……あんたたちが一緒にいるってことは、噂通り、あたしの最後の企みは失敗したみたいだね」


「やっぱり、お前が上様に……」


「ああ、密告したよ。だって、楓だけが幸せじゃ、陽炎様が浮かばれないじゃないか。

でも……結果的に、あんたたちは前より幸せそうになってしまった」


槐はそっとまつげを伏せる。


きっと上様への密告は、陽炎の弔いのつもりだったんだ。


けれど槐は悔しそうというより、寂しさのようなものを漂わせていた。


「もう、私はあんたたちに付きまとうことをやめる」


「槐……」


「もう疲れたんだ。

私は、一族のためでもなく、討幕派のためでもなく、ただ自分の心のために戦っていた。

けれど、あんたを憎めば憎むほど、陽炎様への想いが……あんなに輝いていた陽炎様と過ごした日々が、汚されていくような気がして……」


槐の声が、少し震える。


彼女の陽炎への想いの強さを感じて、胸が痛んだ。