「……あんたたちが一緒にいるってことは、噂通り、あたしの最後の企みは失敗したみたいだね」
「やっぱり、お前が上様に……」
「ああ、密告したよ。だって、楓だけが幸せじゃ、陽炎様が浮かばれないじゃないか。
でも……結果的に、あんたたちは前より幸せそうになってしまった」
槐はそっとまつげを伏せる。
きっと上様への密告は、陽炎の弔いのつもりだったんだ。
けれど槐は悔しそうというより、寂しさのようなものを漂わせていた。
「もう、私はあんたたちに付きまとうことをやめる」
「槐……」
「もう疲れたんだ。
私は、一族のためでもなく、討幕派のためでもなく、ただ自分の心のために戦っていた。
けれど、あんたを憎めば憎むほど、陽炎様への想いが……あんなに輝いていた陽炎様と過ごした日々が、汚されていくような気がして……」
槐の声が、少し震える。
彼女の陽炎への想いの強さを感じて、胸が痛んだ。



