幕末オオカミ 第二部 京都血風編



「あれは……!」


一橋公の質問に答えることができないでいると、突然局長が東大手門の方を指さした。


すると、門の向こう側から大小さまざまな影が飛んで、こちらに近づいてきていた。


目の前を疾走していくそれらは、灰色の毛並をしている。


「お、狼!?」


一橋公が叫ぶ。


「まさか……」


狼たちは、上様のいる黒書院へと駆けていく。


「将軍が危ない!」


一橋公は慌てた様子で、黒書院の方へと走り出す。


あたしと局長も顔を見合わせると、その後に続いた。



「ああ近藤殿、ちょうど良かった!」


黒書院の前に着くと、ちょうど松本さんが飛び出してきた。


「部屋の中に……どこから入ったのか、もののけがうようよと湧いて……」


「もののけが?」


「入ってください」


本来なら、局長は将軍にお目見えできる身分じゃない。


けれど緊急事態だということで、局長はあたしや一橋公と共に部屋の中に入ることが許された。