幕末オオカミ 第二部 京都血風編




面倒見の良い人たちのおかげで、
俺はすぐに試衛館に慣れることができた。


家事手伝いは沖田家にいたころから姉さんに仕込まれていたから、特に問題はなく……。
 

ただ、道場に近づくことだけはなかなかできなかった。


『可哀想だねえ。

母君からおかしな文をもらったときから、何かあるとは思ってたけど……』


なんと、母は『宗次郎は狼の子です』という文を事前に送っていたらしい。


なんでそんなことをしたのか……正気を失った母のやることに理由を見つけることは難しい。


『よく働くし、剣術を教えてやってもいいと思っていたんだけどな。 

この前、竹刀を見せただけで疾風のごとく逃げやがった』


おかみさんと周斉先生の会話に聞き耳を立てていると、
近藤先生の穏やかな声がした。


『宗次郎は大丈夫ですよ。

本人がやりたいと言うまで……過去の傷が癒えるまで、無理強いせずに見守ってあげましょう。

きっといつか、立派な武士になりますよ』