面倒見の良い人たちのおかげで、
俺はすぐに試衛館に慣れることができた。
家事手伝いは沖田家にいたころから姉さんに仕込まれていたから、特に問題はなく……。
ただ、道場に近づくことだけはなかなかできなかった。
『可哀想だねえ。
母君からおかしな文をもらったときから、何かあるとは思ってたけど……』
なんと、母は『宗次郎は狼の子です』という文を事前に送っていたらしい。
なんでそんなことをしたのか……正気を失った母のやることに理由を見つけることは難しい。
『よく働くし、剣術を教えてやってもいいと思っていたんだけどな。
この前、竹刀を見せただけで疾風のごとく逃げやがった』
おかみさんと周斉先生の会話に聞き耳を立てていると、
近藤先生の穏やかな声がした。
『宗次郎は大丈夫ですよ。
本人がやりたいと言うまで……過去の傷が癒えるまで、無理強いせずに見守ってあげましょう。
きっといつか、立派な武士になりますよ』



