門から離れた城壁の前で、土方さんと俺、斉藤、それに休憩中だった平助が集合した。


俺がかいつまんで事情を説明すると、平助が大きな目をますます大きく見開いた。


「ええ!?目を離したすきに、楓が幕府の役人に連行された!?」


夕方、温かいはずの布団の中をふと寒く感じ、目を覚ますと楓はいなかった。


さすがにそこは、詳しくは説明しなかったけれど。


きっと炊事場にでも行ったのだろうと思い、着物を整えていると、幕府の役人を楓に取り次いだ隊士に事の次第を知らされた。


「バカじゃないの!?

楓、罪人なんだよ?こうしてるうちに、斬首にされてるかもしれないんだよ!?

だから土方さんがお前を屯所に置いてったんだろ!何してたんだよ!」


つかみかかってきた平助を、斉藤が止める。


「やめろ、藤堂。

たとえ沖田がついていたって、幕府の役人に正面から堂々と訪ねてこられたら、楓を渡すしかなかっただろう」


「でも……!」


「内輪もめしてる場合じゃねえだろ!」


もみあう俺たちに、土方さんの怒号が飛ぶ。