「上様の客人だという方が、籠に乗ったまま城内へ入った。

顔は誰も見ていない。もしや……楓が連行されてしまったのか?」


きっとその籠に、楓が乗っていたんだ。


俺がただうなずくと、斉藤はみるみるうちに厳しい顔をした。


「お前が一緒にいながら、どういうことだ?

楓はどこで連れ去られたんだ?

しかも、籠が入城したのは一刻も前のことだ。

なぜすぐに追ってこなかった?」


質問責めにされればされるほど、自分のバカさ加減を思い知って、頭が痛くなるようだった。


「とにかく、今休憩中の幹部を集めよう。

そこで事情を説明してくれ」


斉藤はそう言うと、近くにいた3番隊の隊士と交代し、俺の羽織をぐいと引っ張った。