上様は手足が膨れ上がり、痛みで歩くことすら困難なときがあるという。
その他にも喉が腫れたり、胃が痛んだり、歯が痛んだりと、様々な症状が出ているらしい。
原因は松本さんにも、他の医者にもわからず、東洋から西洋から、さまざまな医学を試しているらしい。
「最近はお顔までむくまれていることもあり……これといった治療法がわからず、困っております」
松本さんは悔しそうにうつむく。
お医者様にしてみれば、上様の病気を治せないことは、とても苦しいことなんだろう。
「それなら……あたしの血を差し上げます。
ただ、それで上様の御病気が治ったら……」
「治ったら?」
いったいなんなのだと言うように、一橋公が目じりを吊り上げる。
「……新撰組に、返してもらえないでしょうか」
「なんだと?」
「もちろん、またお体がご不調のときには、すぐに上様の元に馳せ参じます。
ですから……」
「ならん!新撰組などに、返すわけにはいかぬ!
側室だと思って我慢しておれば、調子に乗りおって!」
一橋公は立ち上がり、あっと言う間にあたしの目の前にくると、ばちんと平手で横っ面を殴った。
目の前に星が飛んだような感覚のあと、揺れた体を手をついて支える。
ひっど……いきなり殴られた!



