「何でも、とは言えぬが、望みは極力叶えてやる。
余の傍におれ。今度は、離れないように……四六時中、一緒だ」
大真面目な顔で、上様はあたしに言った。
でも、四六時中って?なんで?
御台様だって、基本は自室にいる。
今みたいな出張のときも、江戸城で留守番しているのに……。
「……正直に言いましょう。上様は今、体調が芳しくない」
ぼそりと言ったのは、松本さんだった。
彼の浮かない表情を見ると、どうやら本当のことを言っているんだろう。
「それで、あたしをお探しに……」
とうとう、あたしの血が必要とされる時がきたんだ……。
じっと見つめると、たしかに上様の顔色は血色が悪く、疲れがにじみ出ているみたい。
「松本が手を尽くしてくれているんだが、すっきり治らんのだ」
怒っていた一橋公が、上様を心配そうに見つめる。
「いったい、どちらがお悪いので?」
おそるおそる聞くと、松本さんが深いため息をつく。
「それがわからないので、あなた様を探したのです」
「わからないって……」
「他言無用ですぞ」
松本さんは念を押すと、上様の病状を説明してくれた。



