幕末オオカミ 第二部 京都血風編



「申し訳ないけど、その嘘は通じない。

さっき近藤氏に老中から質問したが、あっさり真実を白状した。

今は別の部屋で謹慎しているよ」


「そんな……!」


近藤局長が、上様からの質問と言われて嘘をつけるはずがない。


あの人は、そういうお人だ。


「どうやらお前は、新撰組でよほど大事にしてもらったらしいな。

あの田舎侍ども、恩を仇で返すような真似をしやがって!」


どうやら相当ご立腹らしい一橋公の言葉が、次々に胸に突き刺さる。


「まあまあ、一橋公」


松本さんが彼をなだめると、上様が大きなため息をついた。


「ガミガミ怒鳴るな慶喜。余計胃が痛くなるわ」


上様に言われると、一橋公はあたしをにらみつけたまま、一応黙った。


「……とにかく……大奥から脱走した理由から、教えてくれないか」


上様は落ち着いた様子で、あたしに問う。


さすが、幕府をまとめる立場のお方だ。


「愚痴になりますが……」


あたしは大奥でのいじめのことをぽつぽつと話した。