「申し訳ないけど、その嘘は通じない。
さっき近藤氏に老中から質問したが、あっさり真実を白状した。
今は別の部屋で謹慎しているよ」
「そんな……!」
近藤局長が、上様からの質問と言われて嘘をつけるはずがない。
あの人は、そういうお人だ。
「どうやらお前は、新撰組でよほど大事にしてもらったらしいな。
あの田舎侍ども、恩を仇で返すような真似をしやがって!」
どうやら相当ご立腹らしい一橋公の言葉が、次々に胸に突き刺さる。
「まあまあ、一橋公」
松本さんが彼をなだめると、上様が大きなため息をついた。
「ガミガミ怒鳴るな慶喜。余計胃が痛くなるわ」
上様に言われると、一橋公はあたしをにらみつけたまま、一応黙った。
「……とにかく……大奥から脱走した理由から、教えてくれないか」
上様は落ち着いた様子で、あたしに問う。
さすが、幕府をまとめる立場のお方だ。
「愚痴になりますが……」
あたしは大奥でのいじめのことをぽつぽつと話した。



