幕末オオカミ 第二部 京都血風編



もう一人は山形の眉に一重まぶたの、顔の長い男だった。


土方副長と同じくらいの歳に見える。


こちらもちゃんと月代があるちょんまげ頭で、質の良さそうな着物と袴を着けている。


「こっちは、医者の松本良順」


紹介された坊主頭の男は、こちらに会釈をした。


やっぱりお医者さんだった。


「で、こっちは、禁裏守衛総督の一橋慶喜」


松本さんに会釈を返した後、あたしはのけぞった。


ひ、一橋慶喜だあ~!?


この前の禁門の変の総大将じゃないか。


あの時は、新撰組をいつまでも九条河原で待機させたり、強風なのに長州屋敷に火を放ったりと、「こいつおかしいんじゃないの?」とも思ったけど……とにかく、すっごく偉い人だ。


そんな人まで、どうして……。


冷汗を流しながら黙って座っていると、上様が話しだす。


「お前が脱走したときは、城中大騒ぎだったよ。

岡崎の忍も探索に失敗したのか、帰ってこなかった」


それは……陽炎は、新撰組が返り討ちにしてしまったから。


「するとつい最近、お前が新撰組にいるとの情報が入った」


一橋公がじろりとあたしをにらむ。