「話をつけて、すぐに帰ってくるから、心配しないで、と……」


平静を装うとしているのに、額からは汗が。


唇が震えて、うまくしゃべれない。


もしかしたら、今生の別れになってしまうかも……。


あたしの血を取り戻すのが、上様の目的だろうから、また檻の中に入れられてしまうのだろう。


総司の残り香を確かめるように、彼に触れられた感覚をかき集めるように、自分の体を抱く。


もう、彼の存在を傍で確かめることは、できなくなってしまうのかな。


それでも、あたしは……みんなを、総司を、守りたい。


「行ってきます」


あたしは隊士に会釈すると、総司への未練を断ち切るように、屯所の門の方へと駆けた。


待っていて、総司。


臆病なあたしだけど、やっと見つけた大切なものだけは、絶対に守り抜くから。