幕末オオカミ 第二部 京都血風編



「でも、あんただって人間になったりもののけになったりしているじゃないか。

自ら寿命を縮めているっていうの?」


平助くんがたずねると、銀月さんは丁寧に説明する。


「この姿は、幻のようなものです。

人の世界に出るときはこのような仮の姿になりますが、沖田殿のように、肉体自体を変形させてあるわけじゃない」


「幻、ねえ……」


まるでそうは見えない、完全な人間の姿をした銀月さんを見て、平助くんは眉間にシワをよせ、首をかしげた。


「近藤殿。今まで沖田殿を父代わりとして見守ってくださったこと、感謝してもしきれません。

しかしどうか、沖田殿を我々に返していただけませんか。

膨大な数のもののけを率いることのできるのは、頭領の血を引く沖田殿だけなのです」


そう言うと、彼はその大きな体を折り曲げ、近藤局長に頭を下げる。


局長は困った顔で彼を見ていたけれど、そっと立ち上がり、その肩を優しくたたく。


「顔を上げてくださらんか。

それを決めるのは、私じゃない。総司自身が、決めることです」


顔を上げた銀月さんは、青い瞳で総司を見つめる。


「総司……どうする?

ここにいるみんな、お前と離れたいと思う者はいない。

けれど、お前の体が心配なのも事実だ」


局長に問われると、それまで膝を立てていた総司が、そっと座りなおした。