幕末オオカミ 第二部 京都血風編



「とにかく、今は体調が落ち着いているんだ。

これからも狼化さえしなければ、大丈夫じゃねえのか」


土方副長が聞く。

その間にも、あたしの胸の鼓動は、どくどくと速度を増していた。


総司は山南先生が切腹したあの夜にも、少しだけど狼化してしまった……。

変化は感じられなかったけど、やっぱり負担がかかっているんだろうか。


「ええ。今後一切人狼の姿となることがなければ、人より少し短いくらいの寿命をまっとうできるでしょう。

しかし……今後、あなたたち新撰組には確実に討幕派との戦が待っている」


銀月さんの落ち着いた声音が、あたしの胸に波を立てる。


総司は……何もしなくても、人より少し短い寿命しか生きられないの?


「山南氏の件のような、不測の事態も起こらないとは限らない。

新撰組で人として生きる限り、人狼として戦わなければならない機会はどうしても現れるでしょう」


「……すると、総司の体に負担がかかって寿命が縮む、と」


「そういうことです」


優しい局長の表情が曇る。


「我が一族の元に帰ってきて、狼たち……そして前頭領がおさめていた、山や森のもののけたちを、率いていただきたい。

私たちはあなたを完全な狼の姿に戻すことができる。

そうしてもののけとして生きれば、長い寿命が約束されます」


一気に言い終わった銀月さんの言葉に、そこにいた全員が顔をしかめた。