「槐……どうして」


「あ、あんたは……もののけとなって、私についてきなさい。

せっかく頭がいいんだもの、みすみす殺すには惜しいから……」


槐は戸惑ったような顔で、もごもごとよくわからない理由を述べた。


さっきまで、仲間同士で殺し合いをさせようとしていたくせに。


「……やっぱり、本当は優しいんだな」


山南先生は、土気色になっていく顔でくすりと笑う。


「ありがとう、槐。

少しでもきみが後悔してくれるのなら、私は嬉しいよ」


「な……」


「どうか、早く戦いからは手を引いて……幸せになるんだよ」


槐の手から、力が抜けた瞬間……。


山南先生は、自分の腹を自分で……少しの躊躇もせず、横一文字に切り裂いた。