「総司……お前に、介錯を頼める……かな」

「……光栄です。お受けします」


総司の目にも、うっすらと涙が浮かんでいた。


彼はそっとあたしから手を離し、立ち上がると山南先生の背後にまわり、刀を抜く。


そして、山南先生は着物を脱ぎ、上半身裸になると、自分の脇差を抜いた。


「では……さらば」


柄を持つ手に、ぐっと力が入る。


あと少しで切っ先がお腹に触れそうになった瞬間……。


「だめ……っ!」


意外な声が、夜空にこだました。


三つ編みを揺らし、槐が駆け寄ってくる。


「お前っ……」


平助くんが刀を抜こうとしたにも関わらず、槐は山南先生の目前にひざまづくと、その手をつかんで切腹を止め
た。