「土方くん、きみだけはどこまでも揺れずに……近藤さんを、新撰組を守ってくれ」


「山南さん……」


「そのために、ここで鬼になってくれ。
私はきみに傷を負わせた。

隊規違反で……切腹させてくれ」


まだなんとか動く右手で、ぐっと副長の手をにぎる山南先生。


「山南さん……俺はあんたのような強い男を、見たことがねえよ」


副長はそんな彼を眉をひそめて見つめ……悔しそうに唇を噛んだあと、その手を離した。


そして、静かに告げる。


「総長、山南敬助。

新撰組局長代理、副長・土方歳三の名において……切腹を申しつける」


平助くんが非難を込めた目で副長を見つめる。


その目からは涙が溢れていて、あまりの事に言葉が出ないようだった。


斉藤先生は悔しげに目を伏せ、総司は、じっと二人の様子を見ていた。


「そんな……嫌ですっ、副長!」


「楓、やめろ」


「だって、副長、ずっとずっと、本当は山南先生のことが好きで……ずっと心配してて……!こんなの、あんまりだよ!」


「やめろ!これが……武士ってもんなんだよ!」