「う、ぁぁ……」
そのとき、山南先生が意識を取り戻した。
「先生……!」
「山南さん、無理するな。
頼むから、屯所に帰るまでは大人しくしててくれ」
副長の声に、山南先生はうっすらと目を開ける。
「……私は……理性を失っていたんだね……」
どうやらうっすらと記憶が残っているみたい。
「山南先生のせいじゃありません」
左手を握るけれど、その手はするりとすり抜けてしまった。
「あっ……」
「は、はは……やっぱりダメみたいだな……。
もう痛いとさえ、感じられないんだよ……」
縛られた手をちらりと見て、山南先生は、苦笑した。
荒い息が、白く濁る。
「総司……ありがとう。
新撰組の仲間を……殺すようなことがあったら、死んでも……死にきれなかったよ……」
山南先生は切れ切れになった息で、総司にお礼を言った。
総司は黙って首を横に振るしかできない。



