幕末オオカミ 第二部 京都血風編



「う、ぁぁ……」


そのとき、山南先生が意識を取り戻した。


「先生……!」


「山南さん、無理するな。

頼むから、屯所に帰るまでは大人しくしててくれ」


副長の声に、山南先生はうっすらと目を開ける。


「……私は……理性を失っていたんだね……」


どうやらうっすらと記憶が残っているみたい。


「山南先生のせいじゃありません」


左手を握るけれど、その手はするりとすり抜けてしまった。


「あっ……」


「は、はは……やっぱりダメみたいだな……。

もう痛いとさえ、感じられないんだよ……」


縛られた手をちらりと見て、山南先生は、苦笑した。


荒い息が、白く濁る。


「総司……ありがとう。

新撰組の仲間を……殺すようなことがあったら、死んでも……死にきれなかったよ……」


山南先生は切れ切れになった息で、総司にお礼を言った。


総司は黙って首を横に振るしかできない。