幕末オオカミ 第二部 京都血風編



『待たれよ、海の者ども!』


あたしたちと半魚人たちの間に、突然灰色の塊が躍り出た。


蜃気楼のようなそれは、だんだんと実体を持ち……やがて、二股のしっぽを持つ、青い目の大きな狼の姿に変わった。


「あれは、六角獄で見た……!」


「ああ、あのときの狼だ」


総司に確認すると、彼は厳しい顔でうなずく。


禁門の変の日、彼は人間の姿で槐と戦っていた。


その後、あの狼の姿になり、どこかへ消えていったんだった。


どうしてあいつがここへ?


『海の者ども、ここは退け。
南へ戻るまでに、夜が明けてしまうぞ』


狼は半魚人に語りかけているようだった。


『岡崎の忍よ、この場は去るがいい。

そう遠くない将来、お前たちと新撰組が決着をつけるときは必ずやってこよう』


「く……っ」


槐が唇を噛む。


最初に見た時から、彼らは敵同士だったみたいだけど、いったいどんな成り行きでそうなったんだろう。