「ぐぅわぁぁぁっ!」


そんなあたしたちの思案を止めるかのように、総司が闇夜に吠える。


かと思うと、彼は突然、刀を鞘ごと、山南先生に槍のように投げつけた。


それをひらりとよける山南先生。


しかし総司は、一瞬にして彼の目前から消えていた。


風のような速さで、まるで4足歩行くらい身を低くして走った総司は、山南先生のすぐ近くに迫り、その左腕を取る。


そして大きな口を開け、鋭い牙をむきだしにした。


「ダメっ、総司、おあずけっ!!」


思わず叫ぶ。


だって、総司が山南先生の腕を噛み砕いてしまいそうだったから。


すると総司は、その声が聞こえたのかどうなのか。


「わうっ!」


返事をするように吠えると、がぶりと……鎌のようなヒレに、噛みついた。


そしてそれを咥えたまま首を勢いよく振り、腕から引きちぎってしまった。


「うわああああ……っ!」


山南先生が悲鳴を上げ、その場にうずくまる。