幕末オオカミ 第二部 京都血風編



「先生!しっかりしてくださいっ!」


あたしは止血をしようと、懐から手ぬぐいを取り出す。


しかし、背後から頬にぴたりと冷たいものを押し当てられて、動きが止まってしまう。


「動くんじゃない!

一歩でも動いてみろ。

この女の顔を切り刻んでやる!」


そっと振り向くと、いつの間にいたのか、小次郎が忍者刀をかまえて後ろに立っていた。


「前を向け」


緊張した面持ちの小次郎が短く言う。


「楓と山南さんを離せ!」


総司が怒りを露わにして怒鳴る。


「だから言わんこっちゃねえんだよ……!」


土方副長が、端正な顔を歪めて、こちらを見つめていた。


その顔は怒っているというよりも、泣きそうに見えた。


「総長!総長、大丈夫ですか!?」


懸命に山南先生に話しかける斉藤先生。


「あああ、もう、やってられるか!」


川を凍らせ続けるのを諦め、平助くんも駆け寄ってくる。


「みんなっ、あたしのことはいいから、攻撃して!」


「んなこと、できるわけねえだろ!」


叫ぶけど、総司に一蹴されてしまう。


でもこのままじゃ、山南先生が……!