幕末オオカミ 第二部 京都血風編



「なん……」


なんで、と思った刹那。


後ろから、ぶつり、と鈍い音が聞こえた。


「えっ……?」


ついにそちらを振り向く。


すると、後ろにいた山南先生の右脇腹に、半魚人の肘についている鋭いヒレが、突き刺さっていた。


左腕一本じゃ、守り切れなかったんだ。


「山南さん!」


副長に斉藤先生、総司が口々に彼の名を叫びながら、駆け寄ってくる。


同時に、敵は集まった彼らの周りを包囲しようとしていた。


「うそだろ……山南さん!」


輪の外側から、平助くんの悲鳴が聞こえた。


「うわああああああっ!」


あたしは力任せに、山南先生を襲った半魚人に蹴りを食らわせた。


敵は吹っ飛び、ヒレに斬りつけられた山南先生の傷から、鮮血が溢れる。


そのままどっと、彼は冷たい砂利の上に倒れてしまった。


眉間にシワがより、固く閉ざされたまぶた。


悲鳴を噛み殺す、唇。


かけていたメガネが外れたその顔は、必死に苦痛に耐えているみたい。