「なに、あれ……」


総司の近くに寄り、目をこらす。


ざあざあと鳴る川から、次々に何かが上陸してくるのが見えた。


本能的に危険を感じ、ぶるりと背中が震える。


「あれは……もののけだ!」


斉藤先生が声をあげる。


すると、ずる、ずる、と音を立てながら、川から上がってきたものが一体、また一体と姿を現す。


それは、手足に水かきをもち、全身を鱗で覆われた、人間と魚の間のような生き物たちだった。


耳からはヒレみたいなものが飛び出していて、頭髪はなく、男か女かもよくわからない。


「もしや、お前が巡察中に見たという……」


「ああ、あの浪士にとり憑いていたもののけに酷似している」


総司と斉藤先生が視線を交わす。


「なんだあれ、気持ちわりい~!

岡崎一族って、あんなのと仲がいいわけ?」


「ええっ、そんなことないよ!」


あたしが大奥に行くまでは、あんなの見たことなかったもん。