幕末オオカミ 第二部 京都血風編



「え、ええっ!?」


なぜか青白い狐火に囲まれた、明里さんと知らない男だった。


たぶん、一緒に出ていったという客を装った男だろう。


表情までは見えないけれど、明里さんは着物に打掛を羽織り、男は着物に羽織という町人のような姿だった。


それはともかく、どうして彼らが狐火に囲まれているの?


「明里!」


様子を見ていた茂みの影から、山南先生が飛び出した。


あたしと総司も慌ててその後に続く。


山南先生は戸惑うことなく、一気に明里さんの目前にまで迫った。


「……明里……」


「……山南先生。私を斬りにきたんかえ?」


提灯もないし、ちょうど雲がかかっているのか、月明かりさえも届かない。


そんな冷たくて暗い闇の中に、狐火を反射した明里さんの厳しい表情が青く見えた。


「違う。きみに危険を伝えに来たんだ。

新撰組が、きみを捕えにやってくる。

私と共に逃げてくれ、明里」


逃げる……?


ちょ、待って!それじゃ脱走になっちゃう!