あたしは総司や山南先生と並んでいてもおかしくないように、男装して外へ出た。
店の人間の話によると、明里さんとお客さんは、散歩をすると言って九条河原の方向に向かったらしい。
遊女と普通の恋人のふりをして歩きたいと言うお客さんも皆無ではないけれど、まだ肌寒いこの時期に河原に向かうなんて、やっぱり何かおかしい。
花街を離れてそちらに向かうと、人気のなくなった道端の草むらから、うめき声が聞こえた。
「うう……」
「どうした?大丈夫か?」
総司が草むらに入っていき、声をかける。
そこにうずくまっていたのは、明里さんについていったはずの店の男だった。
遊女の外出には、彼女たちが逃げないように店の者がついていくのが常だ。
「わからへん……急に殴られて」
男の外傷は大したことなかった。
お腹を殴られて、気絶させられていたみたい。
「殴られたって、誰に」
「明里と一緒にいたお客さんや」
総司の質問に、男は苦しそうな顔で答える。



