幕末オオカミ 第二部 京都血風編



「だから、彼女が何者でも、私は彼女を死なせたくない。

土方君に拷問させるなんて、もってのほかだ」


「先生……」


「私は、明里を守りたい。どうか、協力してくれないか」


山南先生は、あたしたちに向かって深く頭を下げた。


見上げた総司は、困ったような怒っているような、渋い表情をしていた。


けれど、やがて静かにうなずいた。


「わかりました。だけど山南さん、約束してください。

明里が討幕派と繋がっていた場合……殺したり酷いことをしない代わりに、彼女とは綺麗に手を切ってください」


総司の言葉に、山南先生はそっと目を伏せ……こくりとうなずいた。


明里さんを守りたい気持ちはわかる。


あたしだって総司だって、出会ったときは心の中に孤独を抱えていた。


それを満たしてくれた相手を殺されたりしたら、きっと絶望してしまうだろう。


「大丈夫だ。土方さんだって本当は、山南さんを苦しめるようなことはしたくないはずだ」


総司がそう言って、あたしの手をにぎってくれた。


「うん……とにかく、明里さんを探そう」


屯所にいる幹部たちは、今は山南先生を探すことに必死になっているはず。


あたしたちは『外出した明里さんの後をつける』という知らせを店の人間にたくし、彼女の痕跡を探ることにした。