「だから、彼女が何者でも、私は彼女を死なせたくない。
土方君に拷問させるなんて、もってのほかだ」
「先生……」
「私は、明里を守りたい。どうか、協力してくれないか」
山南先生は、あたしたちに向かって深く頭を下げた。
見上げた総司は、困ったような怒っているような、渋い表情をしていた。
けれど、やがて静かにうなずいた。
「わかりました。だけど山南さん、約束してください。
明里が討幕派と繋がっていた場合……殺したり酷いことをしない代わりに、彼女とは綺麗に手を切ってください」
総司の言葉に、山南先生はそっと目を伏せ……こくりとうなずいた。
明里さんを守りたい気持ちはわかる。
あたしだって総司だって、出会ったときは心の中に孤独を抱えていた。
それを満たしてくれた相手を殺されたりしたら、きっと絶望してしまうだろう。
「大丈夫だ。土方さんだって本当は、山南さんを苦しめるようなことはしたくないはずだ」
総司がそう言って、あたしの手をにぎってくれた。
「うん……とにかく、明里さんを探そう」
屯所にいる幹部たちは、今は山南先生を探すことに必死になっているはず。
あたしたちは『外出した明里さんの後をつける』という知らせを店の人間にたくし、彼女の痕跡を探ることにした。



