幕末オオカミ 第二部 京都血風編



そっと帰ってきたあたしは、誰にもみつからないうちに局長室に入る。


そこには局長と副長、そして総司がいた。


「おお楓くん、なんだか久しぶりだな。
元気だったかい?」


局長は優しくそう言ってくれるけど、あたしは引きつった笑顔しかできなかった。


数日間、明里さんを見張ったものの……中途半端な情報をつかんだだけで、肝心なことは何もわからなかったから。


「……作戦変更だ、小娘。

お前に任せていてもらちが明かなさそうだから、直接明里を詮議にかけることにする」


局長と副長と向かい合わせになった総司の横に座るなり、副長が不機嫌そうな顔でそう言った。


言い方はきついし、だいぶご立腹みたいだけど、とりあえず切腹ではなさそう……。


けれど、ホッとしてはいられない。


明里さんを詮議にかけるって……。


「新見のように、他の適当な店に呼び出そう。

そして、山南さんの腕を治す方法や、その他諸々を聞き出す」


脳裏に浮かんだのは、池田屋事変の前に逆さづりにされた桝屋の姿。


明里さんがなかなか話さなければ、副長は平気でひどい拷問をするに違いない。


「とにかく……山南さんに気づかれちまった以上、動くのは早い方がいい」


総司がため息交じりに言う。