幕末オオカミ 第二部 京都血風編



「しかし、総司が楓くん以外の女性に目を向けるとは考えられない。

……ということは、彼女は……」


「……山南さん、すみません。事情はあとでゆっくりと説明します」


沖田が焦った口調で言うと、山南先生は「うん」とうなずいた。


うわわわわ、もう絶対あたしの正体ばれてるよ……!


全身から冷汗が噴き出て、胸の中が痛いくらいに暴れていた。


「なんのお話なん?」


明里さんの甘えたような声が聞こえてきた。


「いや……総司は本気で彼女に惚れているんだなって話だよ」


ち、違うような……。


「へえ。山南先生はどうなん?

うちんこと、ほんに好いてくれてんの?」


「えっ」


逆に思わぬ質問をされた山南先生の驚いた声がした。


そのあとで、一つの咳払いの後……。


「うん。
私はたとえ君が敵側の間者であっても、きっとこの気持ちは変わらないよ」


山南先生の声は、とても優しくて……それと同時に、強い決心のようなものが伝わってきた。


彼はきっと……本当に明里さんのことが好きなんだろう……。