「しかし、総司が楓くん以外の女性に目を向けるとは考えられない。
……ということは、彼女は……」
「……山南さん、すみません。事情はあとでゆっくりと説明します」
沖田が焦った口調で言うと、山南先生は「うん」とうなずいた。
うわわわわ、もう絶対あたしの正体ばれてるよ……!
全身から冷汗が噴き出て、胸の中が痛いくらいに暴れていた。
「なんのお話なん?」
明里さんの甘えたような声が聞こえてきた。
「いや……総司は本気で彼女に惚れているんだなって話だよ」
ち、違うような……。
「へえ。山南先生はどうなん?
うちんこと、ほんに好いてくれてんの?」
「えっ」
逆に思わぬ質問をされた山南先生の驚いた声がした。
そのあとで、一つの咳払いの後……。
「うん。
私はたとえ君が敵側の間者であっても、きっとこの気持ちは変わらないよ」
山南先生の声は、とても優しくて……それと同時に、強い決心のようなものが伝わってきた。
彼はきっと……本当に明里さんのことが好きなんだろう……。



