名前を呼ぶと、すぐにお小夜は姿を現す。
「なにしてはんの、紅葉姉さん」
「お、帯結ぶの手伝って!
っていうか、この着物変じゃない?髪は崩れてない?
早くしないと、総司が来ちゃうよ……」
「手伝いますから、ちょっと黙ってんか!」
お小夜はあたしよりはるかに落ち着いた顔で着物を着つけ、それに合わせた打掛を羽織らせた。
髪飾りの方向をちょいちょいと直し、お小夜は呆れたように言う。
「お化粧は大丈夫どすえ。
それにしても姉さんは、ほんに沖田先生に惚れてるんやなあ」
「ええっ?」
「だって、商売用の顔とちゃうもん。恋してる顔や」
お、お小夜……あんた何歳だっけ。
「も、もう……」
火照る顔を見られたくなくて、そそくさと廊下へ出たあたしは、ある人に出くわしてしまった。
ぎくりとして、さっと背を向け、顔を背ける。
そこにいたのは、着いたばかりなのであろう山南先生と、それを出迎えた明里さんだったからだ。
まずい……!



