幕末オオカミ 第二部 京都血風編



名前を呼ぶと、すぐにお小夜は姿を現す。


「なにしてはんの、紅葉姉さん」


「お、帯結ぶの手伝って!

っていうか、この着物変じゃない?髪は崩れてない?

早くしないと、総司が来ちゃうよ……」


「手伝いますから、ちょっと黙ってんか!」


お小夜はあたしよりはるかに落ち着いた顔で着物を着つけ、それに合わせた打掛を羽織らせた。


髪飾りの方向をちょいちょいと直し、お小夜は呆れたように言う。


「お化粧は大丈夫どすえ。

それにしても姉さんは、ほんに沖田先生に惚れてるんやなあ」


「ええっ?」


「だって、商売用の顔とちゃうもん。恋してる顔や」


お、お小夜……あんた何歳だっけ。


「も、もう……」


火照る顔を見られたくなくて、そそくさと廊下へ出たあたしは、ある人に出くわしてしまった。


ぎくりとして、さっと背を向け、顔を背ける。


そこにいたのは、着いたばかりなのであろう山南先生と、それを出迎えた明里さんだったからだ。


まずい……!