「じゃぁこの後、俺の手伝いしてくれる?」
「うん、いいよ」

タコを切りながら答えると、後ろななめら辺に視線を感じた。

「なにイチャついてんの」
「はぁ…。たこ焼きは?」
「知らね」
「知らね、じゃないでしょうよ。早く戻って」
「イヤだ」

そして、いつもコレ。わたしが誰かと喋ってたら絶対後ろからニョキっと現れて、自分の仕事を放ったらかしにしちゃう。

「それでこの前も、たこ焼き焦げたでしょ⁉︎」
「たこ焼き焦げるより、杏のが大事だろ」

こういう言葉もサラサラ言うようになって、だんだん碧都が尚樹化してきたように思う。

「もうイイ。碧都、タコ切ってて」

プイッと碧都の横を通り抜け、わたしがたこ焼きを管理する。

これはこの前から、やり始めた。まさか、商品を焦がすなんて思ってもみなかったから…。

「杏ちゃん」
「なぁに」
「あーちゃんのこと、考えてやってな?」

こうやって最近、周りが言うようになった。よっぽど目に付くんだろうな、こんなわたしらが。

「考えてるわよ…」

そしてわたしの答えは、決まっていつもコレ。

実際考えてないわけじゃない。ウジウジしてる自分もイヤ。

でも、もしも。そういう関係になるなら、全て話してからじゃないと…。