あれから数日が経った。海の家での仕事も、居酒屋?BAR?の仕事(本人たちは溜まり場と言っていて、お客の中にも言う人がたくさんいた)も、だいぶ慣れてきた。

接客なんか一切やらなかった人間が、頑張れば他の仕事もできるんだなって身をもって体験できた。

レジも一人だったとしても、あたふたしないし、カキ氷もどんなオーダーがきても、一人で作れる。

運んだりするほうも、あれから変な客は来ないから大丈夫。

たまに難癖つける客がいるけど、そんな時は眞一郎が走ってきて対処してくれるようになった。

オンナノコの胸ばっかり見てた眞一郎が、ちょっとでも成長してくれて嬉しいなと思ったりして。

ただ変わらないのは、わたしと碧都の関係。

キスもあれからないし、微妙な関係を保ち続けている。

お互い好きなのに、くっつかないことに他の三人は苛立ってるみたい…。

「碧都ぉ、タコ切ってくるね」
「あぁ」

ほら、こんな感じで普通の関係。

「なぁ、杏さぁ。碧都の仕事手伝いすぎじゃない」
「えぇ?そんなことないとないと思うけどなぁ」

タコを切ってると合間を縫って、尚樹が声をかけてきた。

一人の時に誰かかしら、こうやって声をかけてくれる。

やっぱりわたしの逆ハーは、終わらないらしい。