~旅人Ⅰ~ ポッポー 汽笛が鳴る。 開け放たれた窓から見える空は青く、綺麗だ。 汽車の中から見える風景は、絶妙な速さで変わっていく。 見える景色は、いたって普通の街ばかり。 ・・・・・・いや、違う。 目を細めた。 違う。 全然、違う。 普通の街“ばかり”なんかではない。 変わっていない。 1つの街の景色だけが、窓から見えるんだ。 汽車は走っているはずなのに。 5,6分程度で、すぐにまた同じ建物を通過する。