◇◇◇
白い湯気が天井にゆらりと上がっていった。
「…行きたくないなぁ…」
恒例となった朝風呂。
俺の悲しいつぶやきが、風呂場に響いた。
話を昨日に戻そう。
黒庵さんが仲間に加わったり、安倍晴明を倒したり。
いろいろ濃ゆい事があったから忘れがちだったかもしれないが、実は俺の生活に関わるとんでもないことが起きていたのだ。
『わた、俺今日から男に走るわ』
…アカネの問題発言である。
紅太と厘介の前で誤解を生む行動と言動を連呼し、もう隠しきれなくなってしまった。
明日言うと言って逃げて、その明日が来てしまったのだ。
正直、できることなら逃げたい。
友達がどんな反応をするのか想像がつかない恐怖が、わかるだろうか。
何を隠そう俺はチキンだ。
未だに百瀬に告白できてないところから推測できると思うが、物事に基本無難に行きたいタイプである。
チキンだから、物事を受け入れた際になんでも受け入れてしまい、大変なことになる。
そう、例えば一一今のように。
そもそも神様なんかに関わるから、こんな事態に陥るのだ。
「はぁあ…」
もう一人の“俺”たる金色の羽をいじりながら、ため息をついた。
どうなることやら。