大和とは、昔からいっつもこんな感じだった。
何かと言えば文句を言い合って、張り合って、どっちが上手いだの、どっちが早いだの…
飽きるほどに毎日毎日、言い合って…
だけど不思議と飽きなくて。
そんな幼なじみの日々に、ピリオドを打ったのは1年半前の大和からの告白だった。
「あのさ、オレ野球部入ろうと思うんだけど」
中学3年の学校からの帰り道、突然の大和の宣言にそれはもうびっくりして…
「へぇ…別にいいけど、あたしの邪魔はしないでね」
既にマネージャーとして野球部に入る事を固く心に決めていたあたしはそんな言葉を返した。
第三者が聞いたら冷たく感じるかもしれないけど、あたしと大和はいつもこんな感じだった。
家も隣同士で、家族も仲良し。
小さい頃から一緒にいれば家族同然の接し方にもなる。
「でさ、あと、アヤの彼氏になろうかと思うんだけど」
「…は?」
なにそれ、といった感じで返事にもなっていない言葉を返すと、大和は真面目な顔をして続けた。
「オレ、ずっとアヤが好きだった。
多分、この気持ちはずっと変わらない。
だから付き合え」
…付き合え?
命令形の大和の言葉に引っかかりながら大和を見上げると、大和はわざとあたしから目を逸らした。
見つめる大和の後ろで、紅葉したケヤキの葉っぱが揺れる。
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