【短編】よわ虫kiss



「10キロ…毎日走ってきてよね」


ようやく落ち着いて、あたしが大和をきっと見上げると、大和がいつものようないたずらっ子みたいな笑顔で笑った。


「余裕だし」


「雨でも台風でも風邪でも…毎日だからね」


「…無茶言うなよ。

大事なエースが倒れたら甲子園行けないし」


「男なら一回言った事は守ってよ。

根性なし」


元の調子を取り戻したあたしを見て、大和が苦笑いを浮かべる。

その目はまだ少し潤んでるけど。


「できる限りな。

あぁ、でもバレンタインはいけねぇな。

きっとチョコもらいすぎて腹壊すから」


「あぁ…そういえば去年もお腹壊してたもんね。

絶対誰かに変なもん入れられたんだよ」


「変なもんって何だよ(笑)

…つぅか、そこは妬くとこだろぉが」


「うっさい。ちょっともてるからっていい気になんないでよ。

調子にのんな。ばか」


口を尖らせて毒づくと、大和はふっと笑ってから急に真面目な顔をした。

そして、あたしぎりぎりまで顔を近づけて少しだけ傾ける。


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